エピソード㉒子どもに教える手当の仕方【健康な心と体~10の姿~】

ひよ先生のコラム

「先生! こっちに来て!来て!」
天気がよい日に園庭で遊んでいると、子どもたちが先生を呼びに来ました。

木陰で輪になっている子どもたちの真ん中で、Rくんが座っています。
「どうしたの?」
「Rくんがね、鼻血を出したの。」

周りの子たちが心配して、甲斐甲斐しくティッシュを丸めて鼻に詰めてあげようとしていました。
「みんな、ありがとう。
 そろそろ、みんなも中に入ろうか。」

Rくんの鼻血はすぐに止まり、体調も悪くはないようなので、涼しい部屋の中で休み、様子を見ることにしました。

昔は常識だと思っていたことが、本当は違っていることもあります。
子どもたちができる応急手当の正しい方法を伝える必要があります。

鼻血が出たら

鼻血が出る原因は、暑さでのぼせたとき、風邪をひいたとき、鼻をいじったとき、ぶつかってけがをしたとき、アレルギーなどがあります。
よくあることと思わず、鼻血の頻度・量・時間の長さに注意しましょう。

 

手当の仕方

    手当の仕方           理 由 ・ 気をつけること
座った状態で下を向く上を向くと、血を飲んで気持ちが悪くなったり、嘔吐の原因になり ます。
鼻にティッシュは詰めず、        小鼻を親指と人差し指でつまんで圧迫する
*目安時間 10~20分
ティッシュなどを詰めるのは、直接的な効果はないといわれます。鼻から詰め物を抜 くとき、再び血が出ることがありますし、詰め物の一部が鼻の中に残った場合、感染症の原因になることがあります。 途中で、止まったかな?と圧迫した指を離さず、目安時間まで我慢しましょう。  
鼻以外の場所からの出血や青あざがないか確認する  他の病気の心配があるかもしれないので、注意しましょう。
鼻血が止まったあとは、すぐに運動はしない  鼻血が止まったあとも、しばらくは鼻を触らないようにしましょう。 運動によって血圧が上昇しますので、すぐの運動や入浴も控えます。  
※止血目安時間は、医師や医学書によって異なります。本コラムでは『MSDマニュアル』を参照しています。

子どもたちは、鼻血が出たらティッシュを詰めるっていうことを、どこで覚えたのでしょうか。
園では教えていないので、おうちの人がやっているのを覚えたのかもしれません。
園で子どもたちに伝えていることと、 保護者の方にも覚えて欲しいことを、園だよりなどでお知らせしましょう。

「ねえ先生、チョコを食べ過ぎると、
鼻血が出るの?」

チョコレートには、血流をよくする成分が含まれていますので、食べ過ぎると鼻血が出る可能性はありますが、医学的な根拠はないといいます。

「みんなは、甘い物は好きですか?
 チョコレートやケーキ、スナック、
 果物、ごはんやパンも甘いよね。

 みんなが1日に食べられる甘い物の
 量は決まっています。甘い物を食べ
 過ぎると、虫歯になりやすいし、
 眠くて動きたくなくなっちゃうし、
 動かないと太っちゃうでしょう。


 チョコレートをいっぱい食べたら、
 ごはんが食べられなくなっちゃう。

 栄養バランスがよくないと、鼻血が
 出ちゃうかもしれないね。ごはんも
 おかずもちゃんと食べたら、元気に
 遊ぶことができますよ。」

先生の話を聞いて、子どもたちは納得したようです。

10の姿「健康な心と体」

幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿の中に、「健康な心と体」があります。
子どもたちが自分の健康に対する関心を高め、体の大切さに気づくことや、災害・緊急時に安全な行動が取れるようになることなどがねらいです。

何でもやってあげることが支援ではなく、年齢に応じて、子どもが自分で考えて行動できるように知識を与え、できることはやらせてみることも大切です。

画像;Photo AC イラストAC

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