エピソード⑭ミスを無くすには

ひよ先生のコラム

ミスをする部下や後輩がいて、注意しても直らない、安心して仕事を任せられないなど、困ったことはありますか。

ある企業に勤めるMさんの後輩Kさんが入社して3日目のことです。
OJT担当のM先輩は付きっきりで研修をしていましたが、さすがに自分の業務も忙しく、その日の午後、Kさんに仕事を預けて、外出することにしました。

仕事の内容は、30件のお客様に荷物を送ることです。集荷に来る16時までに準備するよう、M先輩は次の内容を伝えていきました。
・30件のお客様リスト(住所、社名、何の商品を何個送るか)
・梱包の仕方(箱の組み立て方、商品の詰め方、緩衝材の利用)
・宅配便の伝票の書き方(見本)
・ガムテープと伝票の貼り方
これだけ丁寧に教えたら大丈夫でしょう。そう思い、出かけました。

次の日、あるお客様からお電話がありました。
お客様「Mさん、届いた荷物なんだけど、頼んだものと違っているんだよね。」
M先輩「大変申し訳ありません。(届いたものと足りないものを確認)すぐに手配いたしますので。」

M先輩が用意した荷物は、30件分ちょうどです。
ということは、このお客様の荷物は、どこに送ってしまったのだろう?
Kさんに確認すると、指示通り、間違いなく荷物を作って送ったはずなのですが、と言います。

M先輩は、他のお客様にも確認の電話を掛けました。
2~3件、電話を掛けたところで、これは、全部やり直しした方がよいと判断し、自分で対応することにしました。
簡単な仕事なのに、なぜ間違ったのか、途中でおかしいと気づくことはなかったのだろうか、
Kさんに対して、不安を感じました。

M先輩の予感は当たり、Kさんはミスをすることが多く、安心して仕事を任せることができません。
気をつけるように注意し、提出前に何回もチェックするように指導しましたが、それでもミスは減りません。
そこでM先輩は次のように対応、指導することにしました。

ミスを記録する

 ・ミスの種類     
 ・誤字脱字
 ・予定を忘れる
 ・思い違い
 ・早合点
 ・作成途中で提出送信してしまう
  
   〇件/月   

ミスの原因を探る

 
 ・ミスによる影響や損害の程度について、本人に自覚があるか確認する。
 ・本人なりに気をつけていることやチェック方法を確認する。           
       
  Kさんの話をよく聴き、原因を探ります。

対策を考える

 
頻度・緊急度・重要度・難易度・影響度などを考え、どのミスから重点的に減らすか、
優先順位を考えます。 
               
  
M先輩はKさんと話し合い、まずはお客様にお渡しする資料の誤字脱字や締切について、 
ミスを無くすことにしました。

 
M先輩は、【脳の補完機能】といって、脳には足りない情報を補完するという仕組みがあることを
知りました。
Kさんが2度チェックして間違いがないと提出した文章に誤字脱字がありましたが、Kさんの脳が、
読みやすい文章に補完していたのではないかと思ったのです。

そこで、もう一度、読むスピードをゆっくり、声に出して、指でなぞりながら、チェックさせま
した。
すると、「あっ、間違っていました。」と、自分で気づくことができたのです。

当たり前のことを褒める

 
ミスがなく提出できたとき、締切に送れなかったとき、きれいにできたときなど、
当たり前のことであっても褒めるようにしました。 
叱る・励ます・褒めるを効果的に使うことで、Kさんのやる気が増し、ミスが減っていきました。 

               
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