エピソード⑮やり方は任せて

ひよ先生のコラム

Eさん(31歳)は 料理教室に通っています。
チームのメンバーは他に、30代、40代、60代の女性が在籍しています。

ある日のレッスンメニューに、具だくさんのミネストローネ(トマトスープ)がありました。
じゃがいも、にんじん、玉ねぎを、それぞれ1cm角に切ります。
Nさん(60代)が、「お願いね」とEさんに玉ねぎを渡しました。

Eさんの手順をパターンAとします。
①へたとひげ根を切り落とし、皮をむく。
②縦半分に切り、芯を取る。
③切り口を下にし、 繊維に沿って 端から1cm幅に切る。
④切ったものをある程度重ね、向きを変えて、1cm角に切る。



そこに、Nさんが、「端まで切らずに、切込みを入れて切ったらいいのよ。」とアドバイスしました。
「そうなんですけど・・・」


Nさんが言うやり方を、Bパターンとします。
①へたとひげ根を切り落とし、皮をむく。
②縦半分に切る。
③芯の部分を切り離さないように、繊維に沿って1cm幅に切れ目を入れる。
④玉ねぎを90度回転させて、まな板に対して水平に2〜3か所、切り込みを入れる。
⑤繊維を断ち切るように1cm幅に切る。端の方は横にたおして切る。

Nさんは、年長者の経験として、もっと効率のよい方法があるから教えたい、という気持ちだったのでしょう。

Eさんは主婦で、毎日家族の食事を作っています。子どもの頃から、お料理が好きで、周囲も認める料理上手な人ですから、
Nさんの言うやり方は知っていますし、試したこともあります。
しかし、Eさんにとっては、Aパターンの方が向いていたのです。
実際、他のチームよりも早く、きれいに切り終わりました。
「じゃがいもも、切りますね。」と、他のメンバーを手伝う余裕もありました。

Photo AC

目的が、【Bパターンを学ぶ】という内容であれば、Eさんのやり方は間違っているでしょう。
しかし、【1㎝角に切る】というのであり、時間や完成度に問題がなければ、やり方は本人に任せてよいでしょう。
Nさんのような年長者は、自身の知識を継承することが期待されます。しかし、押し付けではなく、部下後輩の主体性を育てるような関わり方が大切です。

Eさんのような年少者は、年長者から学ぶ姿勢で、自身を高めていく意欲を持ち、感謝を伝えることが大切です。

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